2. 「あなたがたも知っているように、あと二日で過越の祭りが始まります。 いよいよ、わたしが裏切られ、十字架につけられる時が近づいたのです。」
3. ちょうどそのころ、大祭司カヤパの家では、祭司長やユダヤ人の指導者たちが集まり、
4. イエスをひそかに捕らえて殺そうという相談のまっ最中でした。
5. しかし、「祭りの間は見合わせたほうがいいだろうな。 群衆の暴動でも起きたら、それこそ大変だから」というのが、彼らの一致した意見でした。
6. さて、イエスはベタニヤへ行き、らい病人シモンの家にお入りになりました。
7. そこで食事をしておられると、非常に高価な香油のつぼを持った女が入って来て、その香油をイエスの頭に注ぎかけました。
8. それを見た弟子たちは、腹を立てました。 「なんてもったいないことを!
9. 売ればひと財産にもなって、貧しい人たちに恵むこともできたのに。」
14-15. このことがあってから、十二弟子の一人、イスカリオテのユダは祭司長たちのところへ、「あのイエスをあなたがたに売り渡したら、いったい、いくらいただけるんですか」と聞きに行きました。 こうして、とうとう彼らから銀貨三十枚を受け取ったのです。
16. この時から、ユダはイエスを売り渡そうと機会をねらい始めました。
17. 過越の祭りの日、すなわちイースト菌を入れないパンの祭りの最初の日に、弟子たちが来て、イエスに尋ねました。 「先生。 過越の食事は、どこですればよろしいでしょうか。」
18. 「町に入って行くと、これこれの人に会います。 その人に言いなさい。 『私どもの先生が「わたしの時が近づいた。 お宅で弟子たちといっしょに過越の食事をしたいのだが」と申しております。』」
19. 弟子たちはイエスの言われたとおりに事を運び、夕食の用意をしました。
20. その夕方、十二弟子といっしょに食事をしている時、
21. イエスは、「あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ろうとしています」と言われました。
22. これを聞いた弟子たちはひどく心を痛め、口々に「まさか、私じゃないでしょうね」と尋ねました。
23. 「わたしといっしょに鉢に手を浸している者が、裏切るのです。
24. わたしは預言のとおりに、死ななければなりません。 だが、わたしを裏切る者はのろわれます。 その人は、むしろ生まれなかったほうがよかったのです。」
25. ユダも、何げないふりをして尋ねました。 「先生。 まさか、私じゃないでしょうね。」「いや、あなたです。」イエスはお答えになりました。
26. 食事の最中に、イエスは一かたまりのパンを取り、祝福してから、それをちぎって弟子たちに分け与えました。 「これを取って食べなさい。 わたしの体です。」
27. またぶどう酒の杯を取り、感謝の祈りをささげてから、弟子たちに与えて言われました。 「皆この杯から飲みなさい。
28. これは新しい契約を保証するわたしの血、多くの人の罪を赦すために流される血です。
29. よく言っておきますが、やがて父の御国で、あなたがたといっしょに新しく飲む日まで、わたしは二度と、このぶどう酒を飲みません。」
30. このあと、一同は賛美歌をうたうと、そこを出て、オリーブ山に向かいました。