9. ところが、後宮を管理していたヘガイが、特にエステルを気に入り、彼女のためには何でもしてくれるのでした。 特別の食事や化粧用の品々など、何かにつけて便宜をはかってくれます。 わざわざ王宮の侍女を七人呼んで身の回りの世話をさせるやら、後宮一の部屋をあてがうやら、それはもう大そうなものでした。
10. エステルは自分がユダヤ人であることを、だれにも黙っていました。 モルデカイに堅く口止めされていたからです。
11. モルデカイは毎日、後宮の庭に来てエステルの安否を尋ね、これから先の成り行きを見届けようとしていました。
15. さて、いよいよエステルが王のもとへ行く番になりました。 彼女は、例のヘガイに見立ててもらった衣装を身につけました。 その姿の美しさには、ほかの娘たちもいっせいに歓声をあげるほどでした。